Report 勉強会

在宅医療の「現場」を見る-株式会クラウドクリニック

こんにちは、MCF広報担当の伊藤です。

MCFには、年2回、グループ会社も含めて全メンバーが集まる全社会議という行事があります。
全メンバーが集まる機会なので、それぞれにとって何かしらの気づきになればと、毎回、さまざまな勉強会を企画・開催しています。

6月末に行った全社会議では、MCFグループのクラウドクリニック(以下CC)に「在宅医療」の勉強会を開いてもらいました。今回はその模様をレポートします!

CCは、在宅医療事務のアウトソーシングサービスを展開しています。
カルテの入力代行やサマリー作成等、医療の現場にとても近いところで仕事をしています。メンバーも看護師や医療事務、医療コンシェルジュなど医療機関での勤務経験も豊富。

一方、MCFは医療の会社とはいえ、主に医療機関の広報まわりのサービスなので医療のど真ん中ではなくだいぶ周縁です。なかなか医療の現場を見る機会がないMCFメンバーにとって、今回の勉強はとても興味深い内容でした。

死生観の変化が在宅医療の必要性を高める

CC代表 川島さんの「なぜ在宅医療が必要なのか?」というお話からスタートしました。

2025年問題をはじめ日本の医療費の問題もありつつ、もっとも大きいところは価値観の変化。
最期を迎えたい場所として、約6割の人が「自宅」を希望しているにも関わらず、大半が病院で亡くなっているのが日本の現状だそうです。

一方、アメリカやフランスでは、過度な延命治療はせず自然な死を受け入れる、本人の意向を踏まえたケアを提供するシステムが出来上がりつつあるとのこと。

日本でも胃ろう(胃の中に管を通し、食物・水分や医薬品を投与するための処置の1つ)の問題は、2010年頃から議論されるようになりました。
無理に「生かされる」ことをよしとしない価値観の変化が制度を変え、この5年で胃ろうは約4割減ったそうです。

CC代表の川島さん。

それでも欧米に比べると、日本の”遅れている印象”は否めません。

この話を聞きながら、なぜだろうと考えた時に、やはり日本人にとって「死」はタブー感をはらむ問題だからだろうと思いました。今でこそ「終活」という言葉が定着しましたが、まだまだ「死」について話すこと・聞くことに抵抗がある人は少なくないのです。

ちなみに「終活」は、胃ろうの問題が議論されるようになった2010年に新語・流行語大賞にノミネートされました。(Wikipediaより)
「自分の死に方を生前に考えて準備をしておく」ということが表面化されはじめて、まだ7年。

川島さんが「価値観の変化が制度の変化につながる」と話していたのが印象に残りました。
まさに日本はその過渡期にあり、医療費の問題とこの価値観の変化が大きな潮流となって、国が推進する地域包括ケアシステムを後押ししているんだなと腹落ちしました。

この死生観に関する話は、勉強会に参加したMCFメンバーも考えさせられたようで、特に、自分の家族に置き換えて考えていました。

『自宅で最期を迎えたい。誰もが持つそんな希望を叶える人は数少ないという現実。自分の親が最期を迎える時、「親の希望を叶えてあげたい」。でも「1分1秒でも長生きしてほしい」という気持ちと葛藤することになるだろうと思いました。』

医師の視点で見る在宅医療の現場

いよいよ在宅医療の現場についてのお話です。

看護師の三浦さん。先生が患者さんのお宅で行っていることを1つずつ解説してくれました。

CCのサービス開発にご協力いただいている先生に、ウェラブルカメラをつけていただき、先生の目線で見た診察風景を撮影した動画を見せてもらいました。
看護師の三浦さんが、先生の動きを解説してくれたのですが、その臨場感たるや!

頭ではわかっていたつもりだった在宅医療も、実際を見れば全然理解できていなかったことに衝撃を受けました。

その大きな理由は、診察する環境が患者さんの自宅であるということ。
言葉にすると当然なのですが、「診察」というと清潔に管理されたクリニックの診察室や病院の入院病棟を思い浮かべがちです。

しかし、患者さんのご自宅となると、状況は一変します。
部屋が足の踏み場のないほど物が散乱していたり、部屋自体がとても狭かったり…。

在宅医療の先生は、診察する環境を選べないということを実感しました。最期まで自宅でという患者さん一人一人の希望の裏側にある、医療従事者の苦労を垣間見たような気がします。

場が静まり返るほどで、参加メンバーそれぞれも思うところがあったようです。

『在宅医療の現場の動画は、正直、目を覆いたくなるような場面もちらほらありました。でもどの患者さんも、やはり家族がそばにいる状態で、居心地の良い自宅だからか、不安そうな表情はあまり感じませんでした。無機質な病室でただ生かされている、というよりも、いつもと変わらない自然な状態が望ましいのだなと思います。』

在宅医療の膨大な事務作業を地道に支える仕事

背景を理解し、現場を見たあとは、CCのサービスに関わってくるお話。
MCFとCCは、東京と福岡を拠点にオフィスを共有しています。ただ、日々の業務はまったく別なので、同じオフィスにいてもお互いの仕事を見る機会はほとんどありません。

今回の勉強会で、CCメンバーが、日々、いかに地道な作業をして在宅医療の先生方をサポートしているかを知ることができました。

在宅医療機関の経営にも関わる診療報酬算定

まず、医療事務の松岡さんから訪問診療の診療報酬の話をしてもらいました。一言で(雑に)いうと、とっても複雑!!!

医療事務の松岡さん。初めてのプレゼンでとても緊張してました。

  • 外来とは点数のつけ方が異なる
  • 訪問先の条件によっても点数が異なる
  • 月に何回訪問するかでも点数が異なる などなど

訪問先の条件というのは、クリニック間で連携をしていたり、看取りの件数が多いと点数が高くなるそうです。また、訪問先1箇所につき診る患者さんの人数でも変わるそうです。一家庭でご夫婦を診る場合や、高齢者施設などで一度に複数の入居者の方を診察する場合でも異なります。

もちろん、診療内容によっても異なります。私も初めて知ったのですが、糖尿病の患者さんに生活指導をすることでも点数になる場合があるそうです。

医療も経営です。経営が悪化すれば医療機関が立ち行かなくなり、患者さんが適切な医療を受けられない状況にもつながりかねません。
医療機関の経営ではこの点数のつけ方が本当に大切で、診療報酬算定やチェックを担当しているCCメンバーは、点数の取りこぼしがないように細心の注意を払って対応しているんだと知りました。

先生ごとのカルテの書き方を理解した入力代行

そして、看護師の三浦さんにカルテやサマリー作成について話をしてもらいました。

CCメンバーの普段の仕事の様子。

そもそもカルテとは?という基本的な部分から説明をしてもらったのですが、カルテも含め、在宅医療で求められる書類の膨大さに驚きの連続でした。

上述の通り、在宅医療ではゆったりと診察できる環境ではないことが多く、病院やクリニックのように診察しながらカルテを書くような余裕はありません。
在宅医療の先生は、小さなメモ帳に患者さんの診療内容を記録し、クリニックに戻ってからカルテを作成することが多いそうです。

在宅医療は、移動〜診察〜診察後の事務処理と、1人の患者さんを見るだけでも外来よりも時間がかかるわけです。
医師の負担を減らすべく、CCではカルテの入力代行を行っています。医師によっても記録の取り方が違ったりするため、先生それぞれの癖のようなものを理解した上で対応しているんだそうです。(ここでも、なんて地道な…。)

100枚を超えるカルテを紐解きまとめるサマリー作成

さらに、在宅医療は医師だけでは完結しません。
訪問看護師や介護士、ケアマネージャーなど、1人の患者さんに多くのスタッフが関わります。こういった多職種との連携のための書類も膨大です。

医師以外のスタッフは、原則、医師の指示のもとに動くことになるため、今、患者さんがどういう状況でどういう治療をしているのか、それぞれがどういうケアを提供すべきなのかを共有する必要があります。急な容態変化で患者さんが病院にかかることもあるため、病院につなぐ際にも書類は必要です。

多職種や他医療機関との連携にはサマリーがあると便利だということで、CCではサマリー作成サービスを提供しています。

サマリーは、膨大なカルテを情報整理し、要約してまとめたものです。
カルテは診察のたびに作成するため、100枚を超えることも多々あり、その膨大なカルテを医師が1枚1枚確認していくだけでも大変な労力です。また、患者さんの状況は日々刻々と変化するため、サマリーもその都度アップデートしていく必要があります。

CCメンバーは医師に代わって、その膨大なカルテを1枚1枚紐解き、時には先生に確認しながらサマリーを作成しているんだそうです。(またまた地道な!)

勉強会を終えて

在宅医療に関わる医師の事務処理は膨大で、本来の医師の業務である”診療”に集中する時間がなかなか取れない、労働環境が過酷ということで、在宅医療を志す若い医師があまりいなかったり、はじめても辞めてしまう医師も少なくなかったりするそうです。

在宅医療を望む人は増えているのに、それを受け入れるだけの担い手が育たないというジレンマ。

CCは、カルテの入力代行やサマリー作成、多職種間での情報共有のサポート等、医師の事務処理にかかる負担を減らし、本来の医師の仕事である診療に注力してもらおうという思いでメンバー一人一人が、日々、地道な仕事をしているんだということを知り、頭が下がる思いでした。

CCは起業して1年半という若い会社で、今まさにサービスを育てている段階です。
先生方に実際の在宅医療の現場を見せてもらって、本当に医師が求めているものは何かを見聞きしてサービスを形づくっている最中です。そのサービスが生まれる過程を近い距離で見られるのはビジネスという観点でも学ぶ面が多々あり、私自身もそうですが、MCFメンバーにとっても良い刺激になるなと思っています。

今回の勉強会では、在宅医療の理解を深めることができただけでなく、同じMCFグループのメンバーが日々どんな思いで、どんな仕事をしているのかを知る良い機会になりました。

参加メンバーの感想

多方面(価値観、医療費、制度等)から考えて、在宅医療への流れは「待ったなし」なのだと実感しました。しかし、現実にはICT化や、システム、人、組織の連携等の問題が山積しており、これはどこかの誰かの課題ではなく、自分や家族、さらには未来の子供たちにも関わる「みんなの課題」なのだと思いました。

そして、グループ会社の一員がこれらの課題に向き合っていることを知ると同時に、私もこれらの課題解決の一助となれる可能性を感じました。

(エンジニア)

私は、病気になったら通院・入院して治す=なるべく寿命を延ばすという選択をするのが自然だと思っていましたが、既に、世界的に「どう死んで行くのか(どう生きるのか)」を考える時代になってきていることを知り、驚きました。

今後は、医療技術そのものの進歩だけではなく、多様な(色んな人の価値観に合った)医療を提供するための仕組みや取り組みにも注目していきたいです。

(コミュニケーションデザイナー)

在宅医療は、「患者さんのお家にいって、診察を行う」とこれまでは漠然と認識していたけれど、実際の現場は、診察室とは全く違うということがとても衝撃的でした。
その現場を裏側で支えているクラウドクリニックの事業により、在宅医療を受けられる患者さんが増え、ひいては、医療費問題など、日本が抱える課題の改善につながると思うと、やりがいのある事業だと思います。

(営業)

ドクターってこんなに事務作業が多いのだ、という現実を知りました。どんどんITを駆使して、うまく情報連携をしていかないとなかなか在宅医療をはじめる医療機関が増えていかない。365日24時間働くなんて、非人道的だなと思いましたが、そんな忙し過ぎるとドクターのためにクラウドクリニックが少しでも力添えできるように!と皆さんが真剣に取組んでいる姿がいつも素晴らしいなと思っています。

本当の医療現場を少し垣間見えた気がして、大変勉強になりました。

(事務)

今回のクラウドクリニックの勉強会は、これから在宅医療をはじめようと思っている医療機関様でも参考になるかと思います。
在宅医療の勉強会をやってほしい!というご要望がございましたら、弊社までお問い合わせください。

【お問合せ】
株式会社メディアコンテンツファクトリー
TEL 092-471-3555(代表) 広報担当: 伊藤

株式会社クラウドクリニック

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代表取締役 川島 史子
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