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MCFとクラウドクリニック

DBJ女性新ビジネスプランコンペティション授賞式の時の川島

私とつながりのある方はFBでちらっと見たかと思いますが、先日、MCFが出資している子会社のクラウドクリニックが、日本政策投資銀行主催のDBJ女性新ビジネスプランコンペティションで見事、応募270社の中から1位となる大賞を頂きました。

子会社を設立したのが2015年の12月で、もうすぐ丸2年になろうとしています。
会社としても事業としてもこれからの発展途上ではありますが、社長の川島の頑張りもあって、在宅医療の先生方からも、他社からも、サービス・事業的に高くご評価頂くことも多くなってきました。

今回は、MCFの事を少し離れて、クラウドクリニックがどんな事業を展開しているのか、なぜMCFはクラウドクリニックの出資に至ったのか、について少し書いてみたいと思います。

そもそも何故クラウドクリニックに出資したか

実は、川島とは2015年に開催されたデジタルヘルスコネクトのビジネスプランコンテンストの時の参加者仲間でした。(私もとあるビジネスプランで参加者として参加していました。)

もともと川島は医療職種の女性の活用や教育などのテーマに強い関心があって、そのあたりのビジネスプランを出していました。
その後、お互い情報交換をする中で、在宅医療に特化した女性医療職種の活用にフォーカスする形で一緒にやることになり、MCFが出資する形でクラウドクリニックを立ち上げました。

MCFとしてクラウドクリニックに出資したのにはいくつか理由があるのですが、主に下記のような理由です。

(1)今後伸びるであろう在宅医療の分野に強い興味があった
MCFは、基本的に医療機関の外来(大きく分けると外来/入院/在宅)を主戦場としてサービス提供していますが、医療の方向性として入院→在宅シフトをしていく中で、在宅で何かサービスを展開しつつその領域でのノウハウを得たかった
(2)オペレーションセンターの構築・運用はMCFの十八番だったから
MCFは、サイネージやWEBサイトの制作・運用という切り口で、福岡に人員を抱え大量の業務を処理していくオペレーションセンターを持っています。クラウドクリニックでも、医療事務作業等のオペレーションセンター(OPC)を作る際にセンター構築や運営のノウハウが活かしやすいと感じました。
(3)将来的に患者向けコールセンターの機能が欲しかった
在宅医療でも一つの課題となっているのは、患者からの問合せや連絡などのコールセンター的な機能です。MCFも患者向けマーケティングやコミュニケーション設計を行っている中で、将来的に患者向けコールセンターが重要になってくると考えており、その点でも何か人員や組織を共有出来るのではと考えました。そのためにも、医療職種の人材を抱える医療OPCは、MCFにとっても一つのミッシングパーツでした。

クラウドクリニックは何をやっているのか

クラウドクリニックのコンセプトは「在宅支援診療所(在宅医療を行う医療機関)が抱える医療事務作業を、医療OPCでアウトソースすることで、医師や現場スタッフの負担を軽くする」ことです。

在宅医療の抱える医療事務作業にはいろいろありますが、今主軸で行っている業務としては大きく分けて3つあります。

カルテチームリーダーの三浦。腰が痛いって言ってたから、バランスボール買ってあげた。

  1. カルテ代行入力/カルテサマリー
    医師に変わって電子カルテへの入力やその患者の経年的な推移をわかりやすくまとめておくカルテサマリーの作成などを行います。カルテサマリーなどは他院への紹介状や訪問看護・介護ステーション等在宅に関わる他機関との連携のときなどに必要となります。このあたりは看護師チームを中心に行っています。
  2. レセプト算定/レセチェック
    医療業界ではない人だとちょっとわかりづらいですが、いわゆる保険請求業務のことをレセプト、と呼びます。在宅医療は特にレセプト算定が非常に特殊&複雑で、算定を間違えたり取り漏れたり、ということが多々あります。このあたりの算定・チェック業務は、医療事務職チームにて行っています。
  3. コールセンター/多職種連携支援
    ここは主に、コミュニケーション支援です。在宅医療の場合、診療所だけでなく、看護や介護、薬局、歯科など多くの多職種と連携していく必要がありますし、患者からの問合せや容態の変化なども起きます。そういった時に現場にいる医師や同行スタッフだとなかなか連絡やアクションが取りづらくなりますが、それをOPCで全て引き受けて各種調整を行っています。

この3つのうち、一部だけご利用頂いている医療機関もあれば、全て包括で行わせていただいている医療機関もあります。今までは、医療機関が人を抱えて行っていた業務の一部を、クラウドクリニックのOPCにアウトソース頂くようなイメージですね。

複数の医療機関の仕事を一箇所で集約するメリットはいくつかあって、

  1. 同じような業務を大量に処理するので業務習熟度も上がるし効率も良い
  2. 在宅医療というかなり専門知識が必要な領域の人材を育てやすい
  3. スタッフにとっても複数医療機関をまたいだ仕事をするので、業務習熟が早い
  4. シフト調整が組みやすく子育て中とか介護などの事情がある女性でも働きやすい
  5. 複数人で業務を行うので急な退職とか産休とかで仕事が回らなくなるリスクを分散出来る
    ※医療機関は少ない人数で回しているからこれが本当に多い。。
  6. センター集約/業務集約によりIT投資/システム化がしやすい(&社内利用の分習熟度が上がりやすい)

とざっと上げるだけでも、結構メリットが多いです。

福岡OPCの様子。奥にいる男性はMCFのエンジニア。私の横から逃げてこちらの席に移ってきました。

ですから、医療機関からしても、院内にスタッフを抱えて行うよりもクラウドクリニックに任せてもらったほうが、同じぐらいの費用で効率も品質も高く業務をやってもらえる、かつ、採用とか教育とか出産や介護などによる離職などのリスクも減らす事ができますよ、というのが売りなわけです。

クラウドクリニックの目指す姿は

まだサービス開始して1年はくらいなので、まだまだこれからですが、お陰様で順調に支援先在宅医療機関を増やしています。特に、先進的な取り組みを行っている業界リーダー的な先生方を中心に使って頂ける状況になってきました。

これからは、外来と併用で在宅医療を取り入れていきたい医療機関や、新規開業する在宅医療機関などの業務支援なども出来たらいいなと思っています。

だいぶ未来の話ではありますが、将来的には、「医療機関がシステムを意識せずに、IT化された業務が享受できる」状態まで持っていけたらな、と勝手に夢想しております。医療って最後は人対人で、患者とのインターフェースであるべき医師や現場スタッフにとってはなかなかITって馴染みにくい部分や限界があると感じてます。なので、今までの「医師・現場スタッフに、ITを使わせよう」という発想でなく、「バックヤードで高度にIT化した業務が提供される状態」が理想的なんじゃないかな、と思ってます。

そのためには、たくさんの業務を集約したいし、人員も増やしたいし、今世の中にあるWEB技術を使って医療をもっと便利にしたい。やりたい事はいろいろあるけど、足元を大事にしつつ一歩ずつ進めればな、と思っています。

ということで、今日はこのへんで。

何もないゼロの所から組織を作って、いろんな人達を巻き込んで、この短期間で事業として立ち上げた川島のバイタリティは凄いなとただただ感心しています。今回の受賞もおめでとう。

クラウドクリニックのメンバーも、川島の無茶な要求にしっかりついて行って、いまやすっかり歴戦ベンチャー立ち上げメンバーの顔です。
あと、子会社とは言え、いきなり自分の本来の業務とは違う事に駆り出されても嫌な顔もせず精一杯クラウドクリニックのために協力してもらったMCFのスタッフの人達にも感謝しています。
私なんて、在宅医療について理解も出来ていないくせに、横からごちゃごちゃ余計な口を出してるだけの役立たずで、大変申し訳ございません。。。

私自身、クラウドクリニックを通して、初めて自分の会社でない会社の支援、というVC的な役回りに近い事を経験させてもらっていて、これはこれで、会社の経営とはまた一味ちがうなぁと勉強になる日々です。