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Interview クリニック

受け継いだ地域医療を発展させ、新たな視点での経営を目指す

さいたま市大宮区にある谷口整形外科リハビリクリニックは1990年に開業し、2019年5月に現在の新院に移転されました。その際、お父様から谷口真史新院長に継承されました。新院では、1階で診療や検査、2階は全面リハビリテーション室にするなど、整形外科に特化した施設に生まれ変わりました。今回は谷口新院長に、お父様から継承されて以降、診療や体制づくりで新たに行った取り組みについて伺いました。

谷口整形外科リハビリクリニック 院長 谷口真史先生

継承後に注力したのは、リハビリと骨粗しょう症の啓蒙

―勤務医時代はどんなことをされていましたか?

大学では骨軟部腫瘍やがんの骨転移など、整形外科領域の腫瘍の診療に携わっていました。

将来的にここを継ぐことも視野に考えると、何かに特化するよりもオールマイティにあらゆる分野を学んだ方が良いと思ったので、当時からどの分野もまんべんなく勉強することを意識して診療にあたっていました。

―移転と同時に正式に院長に就任されたわけですが、診療において何か変えられたところはありますか?

これまでは“町の何でも相談できるお医者さん”という感じで、特段なにか力を入れてやっていたというわけではありませんでした。ただ、地域の整形外科に特化したクリニックとして、今後より良い医療を展開するためには、運動器リハビリは必須だと考えていました。そこで、移転と同時に2階を全面リハビリテーション室にしました

2階のリハビリテーション室。140㎡あり、広々としています。

リハビリに力を入れることで、これまで通ってくださっている患者さんはもちろん、若い方の通院も増えてきました。また、継続して通院してくれる患者さんも増えたと感じています。そこで現在は5名いる理学療法士をあと2名増やして、より多くの患者さんにリハビリを提供できるようにしたいと思っています。リハビリを通じて地域の患者さんの快適な生活と健康寿命を支えることも、地域の整形外科クリニックとして、重要な役割だと考えています。

さらに、リハビリ以外にも、骨粗しょう症の啓蒙も重点的に行っていきたいと思っています。現在、骨粗しょう症の放置による圧迫骨折や大腿骨の骨折が増えているのは、世界の中でも日本くらいなんです。ですが、整形外科領域には民間療法の考えが信じ込まれやすい傾向もあって、治療を継続してくれない方も中にはいるので、その啓蒙も私たち開業医の大切な役目だと考えています。

モットーは「共に考え、共に治す」

―治療を継続してもらうために、診療で気をつけていることは?

時間をかけてでも、わかりやすく、繰り返し説明することです。その上で、一方的に治療方針を決めるのではなく、患者さんの背景やご意見を尊重して、一緒に決めていくようにしています。骨粗しょう症の治療には終わりがないので、きちんと継続していくためには、病気への理解と治療へのモチベーションが必要不可欠です。何事も理解せずに行動を継続することは難しいですよね。そのような観点から、患者さんのお話を伺いながら、「共に考え、共に治す」というモットーが生まれました。手術や外科的治療が必要になる前に、継続的な啓蒙をして健康な生活を維持するお手伝いができれば、私自身のやりがいにもつながると考えています。

新患獲得のため、広告戦略をWEBに移行

モットーにあわせた、手を取り合うイメージのホームページトップ画像。

―診療以外で変えた点はありますか?

ホームページの開設と広告の見直しを行いました。

父の頃にはホームページがなく、近隣の方のためのクリニックという感じでしたが、リハビリを含む整形外科治療に特化したクリニックであることを、より多くの方に知ってもらうためには、ホームページは必須だと考えました。ただ、ホームページ制作はやったことがなかったので、まずは自分で何冊か本を読んで勉強しました。当たり前ですが、治療や当院の特徴について、書いてあればそれに合う患者さんが来てくれる、書いていなければ来ない、という大原則があると思うので、そのあたりを意識して作っていきました。文章もどう書けばいいかわからなかったので、まずは「広告の作り方」のような本を何冊か読んでから書き始めました。ホームページを作ったあとは、看板などの広告は縮小して、WEB広告に切り替えていっています。その効果もあり、おかげさまで新患も順調に増えています。

また、リハビリを受ける患者さんにも変化があったと感じています。ホームページに「薬や注射による受動型ではなく、低下している身体機能を明らかにし能動的に治します」と掲載したところ、患者様の平均年齢も41~42歳とぐっと若返りました。ホームページのおかげで新患が増えて、さらに新患として来てくださった方が再初診でまた来てくれるようにもなっているので、ホームページの効果は非常に大きかったと思います。それに加えて先代の頃から来院いただいている通院歴の長い方が今でも変わらずにいらしていただけているということもありがたいですね。

今後も、骨粗しょう症や肩関節に関するページなどコンテンツを充実させていきたいと考えています。

―ご移転のタイミングでデジタルサイネージも採用いただきましたが、効果はどうですか?

1階待合室にモニターを設置。座っている患者の目線を考え、低めの位置に吊られています。

ホームページの効果によって患者さんが増えたのは良かったのですが、今度はその分お待たせする時間も長くなってきていました。そこで、移転と同時に患者さんの待ち時間対策として導入しました。結構興味を持って見てくれる方もいて、ただの待ち時間対策以上の効果を感じています。診察中に「私は脊柱管狭窄症だとテレビを見て思った」とか「私の足は偏平足だったんですね」などと話しかけてくれる方もいますよ。また、待ち時間に繰り返し流していることで、病気についての理解が深まっているのも感じています。病院で無音だと患者さんも少し緊張してしまいがちですが、音楽も流れるので、重宝しています。

当院ではデジタルサイネージの動画をホームページにも掲載しています。同じ会社にまとめることで更新依頼の手間が省けるだけでなく、どちらのコンテンツも充実させることができるので、大きなメリットだと感じています。

より良い医療の提供には、自己研鑽を怠らないこと

―患者さんが増えると経営面もいろいろ大変になってくるかと思いますが、なにか工夫されていることはありますか?

クリニックの経営については、コンサルティング会社の勉強会に参加しました。一緒に学べるパートナーがほしかったというのもありますが、異業種の方のセミナー、参加者同士での事例紹介やディスカッション等もあるので、いろいろと勉強になりました。皆さん大先輩ばかりなので、追いつけ追い越せという気持ちで参加しています。

―継承後、新たな取り組みをたくさんされていますが、変わらないところはありますか?

院長がスタッフに助けられているという点ですかね(笑)。院長が変わっても、父の代から15年以上勤めてくれているスタッフも続けてくれていて、親子ほど年齢が離れていても非常に和気あいあいとやってくれるので、本当に助かっています。

また、私が院長として意識しているのは、自分も含めて自己研鑽を怠らないことです。スタッフに対しても、1日5分でいいからなにか必ず勉強するようにと言っています。理学療法士は特に若いスタッフも多いので、もちろん医学で研鑽を積むのは当たり前なのですが、老後の資産形成に役立つような勉強でも資格でも医学以外のことでもなんでもいいんです。とにかく、何か自分の役立つような時間を作りなさいと伝えています。医療従事者として、医学以外のことも幅広く知識をつけてもらいたいと思っています。

ただスタッフに言うだけでは説得力がないので、私自身も無理のない範囲で勉強したり、資格をとったり、自己研鑽を怠らないように意識しています。

―これまでお話をお伺いしていると、先生は本当に勉強家なのですね。

いえいえ。ただ、より良い医療を提供していくには、継続的な勉強は必要ですからね。それを続けることで自然と自信にあふれて、さらに良い医療が提供できると考えています。

私は、医師としても経営者としてもまだまだですが、今後もいろいろなことに取り組んでいきたいと思います。

谷口整形外科リハビリクリニック

谷口整形外科リハビリクリニック
院長 谷口 真史
〒330-0855
埼玉県さいたま市大宮区上小町649
URL:http://taniguchiseikei.com/

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