「集患にはホームページが大切」。
この考え方を疑う先生は少なくなり、ましてやホームページを開設していないクリニックの存在は稀有になりつつあります。
しかし、「ホームページはあればいい」「見た目(デザイン)がお洒落なホームページならいい」といった考え方がまだまだ根強いというのが現実です。本当にホームページはあるだけでいいのでしょうか。見た目がキレイであれば、中身は何でもいいのでしょうか。
今回は、そんな問いかけを念頭にホームページを見直すポイントをご紹介したいと思います。
目次
ホームページリニューアルで新患数が2割アップ
ホームページ(以下、HP)をリニューアルしたことで、新規患者が2割増えた事例があります。
開院から10年を迎えた東京都内の耳鼻咽喉科クリニック。開業時の支援業者が制作したHPをもっていましたが、公開から10年も経つと、さすがに古ぼけた印象は否めず、作り変えることになりました。
当クリニックの新患数は、開院5年目頃から年間1,600人ほどで落ち着いていましたが、HPリニューアル公開後は増加傾向に転じ、年間の新患数が2,000人を超えました。この結果から、新患数さえ左右するHPは、医療機関経営にとって重要なツールであり、“ただあればいい”というものではない、ということがわかります。
良いホームページの条件とは
では、“良いホームページ”であるための条件とは、何かを考えてみましょう。 はじめに、貴院のHPは、どのくらいの人が見ているかご 存知ですか。当社調査によると、クリニックHPの月間アクセス数平均値は1,000程度でした。診療科目によっても差は ありますが、約1,000人がHPを見ているということになります。
月間1,000人という数字は、クリニックの平均的な来院 患者数と同数ですが、再診や再来院のいわゆる既存患者は、来院前にあまりHPを見ない傾向にあります。つまり、少なくとも半数は、HPを見たけれど来院しなかった“潜在患者”ということになります。
集患につながる良いHPであるには、まず母集団となるアクセス数を増やすことが先決です。クリニックを探す人(潜在患者)のGoogle等での検索~貴院HPに流入~情報取得までの一連の行動をストレスフリーにしておく必要があり、この点には、技術的な対応が求められます。
そして、貴院HPを見てくれた潜在患者をなるべく多く来院させるには、コンテンツ(掲載内容)が重要です。患者が見たい・知りたい情報以上の内容を掲載することで、来意動機は確実に高まります。
医療機関ホームページもスマホ対応は必須
技術面とは具体的に何かというと、最近の大きなトピッ クスは、やはりスマホ対応です。
2015年のスマホ普及率は、49.7%。PCではなく、スマ ホでインターネットを見る層が飛躍的に増え、ここ数年で HPのスマホ対応は主流の技術になりました。 医療機関のHPも例外ではありません。当社調査では、半数近くの人がスマホで医療機関のHPを見ていることがわかっています。若年層の来院者が多い婦人科や小児 科では、その割合は7割を超えます。
こういった背景もあり、2015年春、Googleはスマホ対応になっていないHPは、検索順位が下がるようにアルゴリズムを変更しました。つまり、スマホ対応になっていない医療機関HPは、患者が検索しても見つけにくくなり、アクセス数アップどころか、減少すらしかねないという危機的状況にあるということです。
冒頭で紹介した都内の耳鼻咽喉科クリニックもリニューアル時にスマホ対応にしたことで、スマホからの流入が3割増となり、全体の月間アクセス数も2.5倍にまで増えました。
安心感を醸成できるコンテンツの充実
次に、来院動機を高めるコンテンツについてですが、トップページ以外で、もっともページビューが多い、つまり、よく見られるページは、診療案内です。
診療時間や休診日、診療科目といった医療機関の基本情報が掲載されているページですので、当然の結果です。次に医師の紹介、特色・理念と続きます。これらのページの情報は、既存患者ではなく、新患となる潜在患者が必要とするものです。
初めてかかるクリニックを探している時に、一方は、単なる医師の経歴やありきたりな理念だけが記載されているHP、かたや院内の写真や医師の顔写真が豊富で、患者へのメッセージ等も掲載されているHPがあったなら、どちらのクリニックにかかりたいと思うかは明白です。
来院動機を高めるということは、即ち、患者の安心感を醸成するということ。皆さんが思っている以上に、患者は「自分はこのクリニックにかかっていいのか」という不安を抱いており、その答えを医療機関HPに求めています。
この視点をもった上で、まずは貴院HPの「診療案内」「医師紹介」「当院の特色」の内容を見直してみてください。
ホームページに掲載するコンテンツを考えるポイント
どんな患者を増やしたいかを考える
患者が「自分はこのクリニックにかかっていいのか」という答えをHPに求めるということは、コンテンツ次第で、患者イメージを限定できるとも言えます。
先に述べた耳鼻咽喉科クリニックのHP制作時には、院長と「どんな患者を増やしたいか」という議論からはじめました。
このクリニックは、もともと睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)の専門施設を有し、その領域の患者数は十分でした。そこで、今後は小児患者を増やしていこうという結論に至り、SASの特色を活かしつつ、子どもの診療にも積極的なクリニックという色をHPでは全面に出すことにしました。
トップページに子どもの写真やイラストを使用し、小児科に近い見せ方をしたというデザイン面での工夫は当然ですが、子どもの耳・鼻・のどの疾患から、子どものいびきについて説明するページを充実させました。狙い通り、小児患者も増加し、結果として年間の新規患者数の増加につながりました。
アクセス数UPにもコンテンツが効果
実は、アクセス数アップには、コンテンツの充実も有 効です。
ご紹介している耳鼻咽喉科クリニックでは、子どもの疾患に関するコンテンツを充実させたことで、リニューアル後、「子ども×耳・鼻・喉の病気や症状」といった検索キーワードでのアクセス数が大幅に伸び、最終的には「子ども×いびき」でGoogle検索順位1位にまでなりました。
このようにコンテンツを充実させることで、診療科目や地名という一般的な検索キーワード以外でHPへの流入が増えると、アクセス数も必然的に伸びます。ポイントは、医療知識のない一般の人が検索するワードを想定することです。要するに、HPに掲載する文章は、専門用語は極力使わずに、平易な言葉(話し言葉)で作成するようにしてください。
医療機関ホームページ制作には専門業者の選定を
新規開業時に、時間も予算もなく、とにかく安い(もしくはタダ)・早い業者に制作を依頼したというクリニックは多いと思います。
なぜ安い・早いのかというと、往々にしてテンプレートに流し込むだけのやり方を取っているからです。その場合、なかなかそれぞれの特色を打ち出すことは難しいでしょう。
HPで大切なことは、“誰に向けて”、“何を発信していくのか”をしっかり考えることです。
院長やスタッフが満足するものではなく(そんなものは誰も求めていません)、見る人が見つけやすく見やすいHPであることを意識していただければと思います。
ちなみに、医療機関HPにはガイドラインがあり、様々な規制があります。さらにコンテンツの見せ方を考える際には、ある程度の医療知識も必要となります。
リニューアルを検討する際には、ぜひ医療機関HP制作の経験が豊富な、できれば専門の制作会社を選ばれることをオススメします。
貴院のホームページをチェックしてみよう
弊社でも、医療機関専門でホームページ制作サービスを提供していますが、既存のホームページをリニューアルしようかどうか迷われている医療機関様には、現在の内容等をチェックするようおすすめしています。
弊社でよくチェックするポイントをご紹介しますので、ぜひこの機会にチェックしてみてください。チェックが多ければ多いほど、よくない状況ですので、コンテンツ(掲載内容)の見直しからはじめてみてはいかがでしょうか。