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リモートワークするにあたって社長として困ったこと

なんだか、この新型コロナウイルス感染拡大の影響で、どんどん世の中が不穏な空気感になってきましたね。
なによりも震災やリーマンショックなどと比べて、「ありとあらゆる人の行動が制限される」という点においてはいままで経験のしたことのない事態なのが苦しいですね。

家でずっと過ごすのはストレスが溜まる

この騒動でどこの会社も大なり小なりリモートワークを取り入れていると思いますが、メディアコンテンツファクトリーでも3月上旬から一部リモートワークに移行したりしていました。

前々から準備をしていたわけではなく、金曜日に決定、来週月曜日からと突然スタートしたので、制度面や仕組みの整備を行う準備期間もなくスタートしました。リモートに関しては色んな人がブログを書いてて、リモートのメリットとかデメリットなんかの記事が多かったのですが、経営者の視点でみた時にどのあたりに課題感を感じたか、という内容はあまりなかったので、自分の備忘録代わりに書きます。

ちなみに前提条件として、うちの会社はもともと福岡/東京/大阪と拠点がわかれており、更に各拠点をまたぐ仕事のやりとりも多いのでSlackやビデオ会議がコミュニケーションのメインツールです。なので、おそらく平均以上にはリモートワークを取り入れやすい会社ではあるという前提で読んでもらえればと思います。

リモートワークやるに当たって課題だったところ

電話問題

クラウドコールセンターシステム(Fiber)

まず真っ先に「これどうする?」となったのが電話問題でした。受電と架電の両方の業務があって、受電はすぐの対応が難しかったので、結局オフィスに出勤する人がある程度いるという前提で何も対応しませんでした。ただ、主に架電業務だけあるという人もおり、この人だけでも対応がとれないか、ということで子会社の方で使っていたクラウドコールセンターの仕組み(Twillioで自社開発)を一部使わせてもらって、架電業務だけ各人のPCからできるように対応しました。携帯使えばいいじゃん、と思われるかもしれないんですが、営業以外は社用の携帯を支給していないし、いわゆる管理業務系の人たちは、結構仕事で電話かけないといけないことも多く、私用の携帯使わせるのもなぁということでとった対応策でしたが、ある程度は機能したかなと思います。今回やってみて、将来を想定していっそのことすべての電話番号をクラウドコールセンターの方に移行してしまっても良いのかなと思い始めています。AWSでも同じようなサービスがあるっぽいので、今後の研究領域。でも、どこまでリモートワークなどを想定して投資するか悩ましいところ。

映像系デスクトップ問題

うちの会社は映像系の仕事も多く、どうしても映像制作系のメンバーはPCスペックの関係からデスクトップをメインで使っています。で、そういったメンバーが家にも同じ環境があるかというとそうもいかず、PC環境のせいでリモートワークできないじゃん!という事態になりました。ハード・ソフトだけでなくフォントの問題とか細かくいろいろとあって環境を変えることがなかなか難しい職業なんだなと今回改めて実感しました。
いまのところ、解決策が見えていません。せいぜいスペックを落としたノートパソコンを予備で置いておくか、ぐらいしか対応策がなさそうなんですが、いずれにしても快適にリモートワーク、というわけにいかない職種です。

ギガ問題

少数ではあるんですが「家にネット環境ありません」という人がいるんですよ。本当に。
こういう事態を想定してネットひいておけよ、と会社から命令するわけにもいかないし、悩ましい。いや、家にネット環境がないとか私からしたら信じられないのですが、どうも独身の人とかには一定層いそうだな、と思いました。

誰が勤務してるかわからない問題

いままで社内に規定のなかったリモートワークを突然始めることになったので、誰が出勤していて誰が休みなのか、そもそも始業時間とかあるの?とかわーっとルールを決めないといけないことが噴出しました。
今回、リモートワークを急遽導入するにあたって決めた簡単なルールとしては

  1. 始業時間・終了時間は変わらない(リモートワーク≠フレックス)
  2. 始業開始・終了はSlackの専用チャンネルで挨拶
  3. 体調不良=リモートワーク、ではない。体調不良は休む

の3点でした。特に2についてはリモートワーク初日に、普段なら朝からワイガヤしているSlackがシーン・・・となっていて、不安になったので急遽決めたルールでしたが、これがあることでみんな見えないけど働いているだな、と思えたのは安心感がありました。相手もPCの前にいる、ということがわかれば普通にコンタクトも取れるので、やはりリモートワークといえども、「単に場所が会社でないだけ」ということを意識して制度を作ったほうがいいなと思いました。

家だと効率が落ちる問題

これは、他の問題とも絡むんですが、やはり普段家で仕事をあまりしない場合は「仕事をするための環境」が整っていないのでどうしても効率が落ちるなと感じました。そもそも今回で言うと、子供が家にいる場合には仕事にならない人が多いですし、私はデュアルディスプレイがないと仕事の効率が70%ダウンするタイプです。

会社ではウルトラワイドモニター。もうこのディスプレイ持って帰ろうかと悩んだ。

他に経営者として悩ましいところ

セキュリティ問題

今回は、非常事態ということである程度目をつむったところがありますが、そもそも家などで機密書類などを扱う仕事をすることがセキュリティ的にどうなのか、という点は判断が難しいなと思いました。普段は機密書類等へのアクセスは社内LAN環境でしかアクセスできないようにしていましたが、リモートワークを行う人向けにVPNでアクセスできるように開放しました。ただ、セキュリティをどのように担保すべきか、もう少しルールを決めておかないとなとは感じました。

不公平問題

それぞれの業務内容によってリモートワークができる人とできない人が発生してしまいます。例えば、リモートワークが難しい人が不安だから出社はしたくない場合に、休まざるを得ないのは不公平だという指摘が出るんじゃないかなと心配しました(実際にはそれを表立って言う人はいませんでしたが)。
どうしても職種によって待遇面で差が出てしまうのはある程度仕方がない、とは思いつつも、経営者としてはなるべく待遇の公平性は担保したいという気持ちもあり、どうしたら良いんだろうと悩んだ点でした。これも解決策は今のところありません。

その他細かいところ

他にも細かい話として、「交通費はどうなるの?(定期なんだけど)」とか、「請求書とかの紙書類を家に持って帰って良いか(管理系部門)」とか、会社全体で見ると本当に細かいところでボロボロと決めないといけないことが出てきて、個々人ではリモートワークいいじゃん、とか言ってても会社全体で見たらかなり悩ましいな、と思いました。
ちなみに、交通費は「普段どおり支給する→その代わり家の電気代・ネット利用のお金とかは個人負担ということで相殺」「紙書類は持ち帰るのは禁止。だけどスキャンしてサーバ保存・PCから閲覧はOK」という暫定ルールで運用した部分が他にもたくさんあります。

結局リモートワークはどうだったの?

今回ひとつ良かったのは、うだうだ悩む前に外圧によってえいっとやってみて、いろいろ検証できたのは良かったなと思っています。BCP(Business Continuity Plan)としての準備にもなったかなと感じています。そして、個人単位ではある程度うまく回るじゃん、と思う人も多いかと思いますが(個人のブログとかネット記事では概ねリモートワークに好意的)、経営者の視点で見ると「会社全体として常時仕組み化することは現時点では難しい。緊急避難的に行うことは可能」という評価ですかね。

あと、大切なことは「リモートワーク」と「フレックスなどの働き方改革」をしっかり区別しておくことかなと思っています。ここを混同してしまうと、義務と権利がごっちゃになって収集がつかなくなってしまう。そして、ある人にとっては素晴らしい制度だとしても、一方で我慢を強いられる人が出てきてしまうので、サステナビリティのある仕組みには現時点ではしにくいなと感じています。(もちろん採用時点からリモートワークを前提とした採用等していればよいのかもしれませんが)

なんだか普段のイケイケドンドンなスタンスに反して随分と保守的な言い方になってしまいましたが、出来得る限り職種などによって不平等や不公平感がなく、個人の自由選択を可能な範囲で担保してあげながら、顧客へのサービスも担保するのは簡単なことではないよね、という単なる社長の愚痴で今回の記事は締めたいと思います。

先が見えにくいって辛いですね。でもこんな状況の中でもやれることをやっていくしかないので、社長として心はざわつきますが、ひとつずつできることを片付けて生きたいと思います。今年の夏ぐらいには収束していることを願って。